健幸脳と疲弊脳

健康脳と疲弊脳

現代人の不健康

現代人の多くは様々なしかも過剰な情報を脳で処理し、理性的な観念で生活しているのが現状です。この過剰すぎる情報こそが私たちのストレスとなっています。 たとえば健康に良い食べ物を知識として得て食べており、身体に良いものか悪いものか実は舌で味覚として感じていないのです。その日の気温も天気予報で予測して、肌では感じていないのです。雲の流れも、風の向きも感じないで歩いています。

現代人は五感と体感を通して生きているのではなく、過剰な情報と時間と義務感という理性で日常生活をこなしているだけです。

本来、人が持っていた生きるための能力こそが、自分自身を自然に健康にする能力なのです。その能力が実は脳にあるのです。これが脳力です。

現代人のストレスは

急性のストレス

 ① 人生上の大事件(ライフイベント)

  就職・転勤・配置転換・昇進・退職結婚・離婚・転居・死別

 ② ライフサイクルのストレス

  青年期:自立・就職・配偶者の選択

  成人期:職場の責任の変化・子供の独立

  老年期:老化・喪失体験・近親者の病気・死

慢性のストレス

 日常生活の中のストレス

  情報過多・生活環境・親子関係、職場・学校の人間関係、仕事量(多・少)

体内ストレス

 実はストレスには人の周囲のストレスのほかに自分の体の中にもあるのです。
 これが体性感覚から来るストレスです。

 自分の体の不調を不愉快に感じることが最もストレスとしては基本となります。

 体調が悪い、疲れやすい、だるい、食欲不振、腹痛 呼吸困難、動悸、便秘、腹部暴慢感

ストレスの健幸脳(元気プログラム)と疲弊脳(疲弊プログラム)

情報過多以外にも自律神経失調症などによる体性ストレスを加えると、実に多くのストレスが現代人にはあります。そのストレスは最初に五感の感覚器と体性感覚器で感知して脳に伝わります。 ストレスが起きると先ずは自律神経の交感神経が反応して血圧が上昇し動悸となり、また血糖値が上昇し、呼吸が速くなり、消化管の蠕動運動が抑制されて食欲不振などの症状が出現して、ストレスに対する戦闘モードとなります。この時期がストレスに対する警告反応期です。

次にストレスの緊張を和らげようと脳では副交感神経によって防衛反応が起り、交感神経とは全く逆のことが起こります。動悸・血圧は下がり、呼吸は深くなりゆっくりとなり、食欲が増します。

そこでストレスが小さく感じられれば、人は副交感神経によってすぐにエネルギーの補充が得られてリラックスでき、人は元気になれます(元気プログラム)。このような脳を健幸脳と言えます。そして人は自然に健康になれます。しかしストレスが大きく感じてしまったり、過剰だったり、長期間に及ぶと交感神経の緊張が持続してストレスの疲弊期に入ります。疲弊期ではストレスの防衛反応はさらに過剰となり、過食・偏食・飲食などの異常行動となり、疲弊脳(疲弊プログラム)になります。その結果、肥満・メタボリック症候群・生活習慣病・肩こり・月経不順・更年期障害・うつ状態など様々な兆候が現れます。

またストレス情報は大脳辺緑系(本能の脳)にも伝達され、ストレスが快か不快かを決定し間脳に伝えます。快なら元気プログラム(健幸脳)となりますが、不快なら疲弊プログラム(疲弊脳)となります。これを決定する要因が実は脳にあるのです。脳は様々な情報を理性で処理しているため、いつもフル回転して余裕がなくなっています。そこにストレスが更に加われば、余裕のない脳は小さいストレスでも不快と感じて疲弊プログラムとなるわけです。

五感が退化

ストレスが過剰になれば、ストレスへの防衛反応として「甘いものを!」「濃い味を!」「脂っこいものを!」を求めて、味覚の閾値は次第に高くなり、人の五感の感度が鈍くなり、疲弊期に入ると味覚異常を来たします。

また現代社会の騒音の中にいれば聴覚は大きな音をシャットアウトしなければなりません。その結果、聴覚はかすかな音をキャッチできなくなっています。臭いものを閉ざしてしまう傾向は、嗅覚も鈍麻にさせてしまいます

何億年とかけて進化して来た五感の感度がストレスによって現代では退化している状態といえます。

更に体性感覚のストレスの症状も強くなり、自分だけでは回復が困難になり、マッサージや鍼灸、整体などの力を借りることとなります。